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オレ式

都内のある医局の若いスタッフと話していた。
もろもろ不満があるようだ。
理不尽と思われる上司の態度や、同僚の患者の扱いなどにストレスを感じているという。

「まあ、でも、こういった類は、どんなところでもあるとは、思うんですよね・・・でも。」

よく聞いてみると、良くないとわかっている術式を「医局の伝統」とやらで継続していかなければならないことが、一番心苦しいことのようだ。

「う〜ん、確かに○○法(教授の名前)は、・・・ちょっとね。コンセプトに無理があるよ。もう結果もわかってることだし、やめた方がいいじゃないの?」
「ええ、そうなんです。でもやめられないんです。」
「え、どうして、10年やって、結果が悪かったのでやめました、じゃ、ダメなの。それをしっかり論文にすれば、結構、みんなの役に立つし、いいと思うよ。」
「・・・・」

ちょっとかなしい顔になった。

「なんというか、少しモディファイしてでも、なんとかオリジナリティーを残せないかと医局は考えているんです。」
「医局って、だれ? 術式の伝統って、医学って進歩するもんじゃないの? そもそも患者さんの得になってないって時点で、おかしいだろうよ。」

たたみ込んだら、ますます悲しそうだったので、それ以上は何もいえなくなってしまった。

これまで私は自分ができる一番よい治療を、患者さんに提供したいと思ってやってきた。よいものであれば、どこのだれのアイデアかなど、どうでもよい。
そもそも医療技術は患者のためのものであって、その背景など、患者にとっては意味のないことだ。

だから、「○○大学式手術」「××氏法」などのネーミングには、どうしても馴染めない。
そんなことを言い出したら、今やっている手技のすべては、先達のだれかが編み出したものだから、手術記録なんて、書けないだろうよ。

Smith氏メスを用い Nicolous法で切開し、 Taliacozzini氏の電気メスと Mariomariacart ニードルで止血。Koppfel鉗子を使い Kaneko法で剥離、露出血管を Teshigahara摂子で掴み Mondole 変法による・・・・

いらん!

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