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あたらしい術式?

「センセー 筋肉しばり って知ってます?」
「キンニクシバリ???  いや 聞いたことないけど・・・」

プロレスの新技か? イヤ こんな若い娘がプロレスを観てるとは思えない.
でも案外 ナカムラとかの熱狂的ファンかもしれないし・・・

「聞いたことないですか? あたし アゴ下の膨らみが気になってて いろいろ調べたら いま韓国で流行ってるやり方みたいで すごい興味あるんです・・」
「あ・・アゴのね・・そ そうだよね・・で・・うーーん 何のことだろー?」

ちょっとググってみると なんてことはない.いわゆる「platysma plication 」で 20年以上も前からある術式だ.

「日本でやってるとこないかなーって思って 調べたんですけど ほとんどやってないみたいで・・」
「ウチ やってるよ」
「えっ そうなんですか!」
「だって これ昔からある一般的なネックリフトだし フェイスリフトができる外科医ならだいたいできると思うよ」
「なんだぁ〜 そうなんだー」


海外で日本食レストランに行ったときなんかに 妙ちくりんなメニューに出会うこと あるよね.
最近 患者さんから聞くこの手の流行(はやり)ってやつも かなりそれに近いと思う.独特な日本語訳が なんか意外にキャッチーで ジワジワくる感じっていうか.

日本って外来語が好きなので そのままカタカタにする傾向にある.
実際 このキンニクシバリの元になる「platysma plication 」も 日本の形成外科医は このまま「プラティスマ・プライケーション」を使うことが多いし 日本語の場合なら「広頚筋の縫縮(こうけいきんのほうしゅく)」と言ってる.だから 日本だと広頚筋縫縮術で紹介されてる場合が多いと思う.

そんななかで「キンニクシバリ!」って聞くと エッ何それ? 新しい治療法? てなるのかもしれない.
たしかに「広頚筋縫縮術」よりは 効き目がありそうだしね.

「両顎(リョウアゴ)手術」も 韓国の造語だ.
最初 患者さんから聞いたときは な・なにそれ?? ってなった.
日本の外科医のなかでは,上下顎骨切り術とかツージョー(2 jaw)が一般的.

もちろん彼らも日本人向けのサイトを作るとき できるだけわかりやすい日本語に訳した結果なんだろうけど 機械翻訳的な語呂が 案外患者さんにウケるのかもしれない.

でも最近 アタシも患者さんと話してて 「リョウアゴ手術が適応だと思いますよ」 なんて言っちゃってることもあって こっちの方が馴染むのかなぁーって・・・

まあ 内容が伝わるのが一番なんで いいんですけど・・

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