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医師のプロフィール どこをみればいいのか

HPに載ってる医師のプロフィールについては けっこう最近までは 名前と所属 診療科くらいしか 書けなかったんだよ  でも今は いろいろと解禁されて かなり自由にかけるようになった  これは患者さんにとって とってもいいことなんだけど 書かれてる内容を 一般の方が読んで 外科医を選ぶ目安にするのは あんがいむつかしい

で 今回は プロフィールを読み解く方法を プログラムの目線から解説してみますわ・

卒業大学

これまで 何十人もの外科医を指導してきたけど 「○○大学の卒業生の腕がいい」なんてことは ぜんぜんなかった  そもそも 医学部時代には外科の技術なんて教わらないから 関係ないし それに よく考えれば 卒業大学って 入学時の試験(国語数学理科社会英語・・)の評価だから 外科医の腕と相関するとは考えにくい

だから ふつうにさらっと卒業大学が書いてあれば 信頼できる一方で 「○○大学(一流)卒業!」なんて大袈裟に書いてあると 逆にちょっと それってなんか・・・それしかないわけ? って思っちゃう  未だにそこを寄りどころにしてるの っていうか・・ まあ使えるものは使いたい っていうのはわかるけど 正直 卒業大学は どこでもいい 外科医のうでとは関係ない

卒業年度

外科医という技術職なら やはり卒後10年 というのが一つの目安かなと思う

卒後2年は初期研修で まあなんというか 医者の常識を勉強するだけ  点滴の入れ方とか緊急時の挿管とか薬の使い方とか・・

で実際 外科医としてのまともなトレーニングは 卒後3年目から そんでもって専門医が取得できるのが 卒後7〜8年目なので 早くて卒後10年というところかな

もちろんスキルをあまり要しない手技なら 専門医前でもぜんぜん問題ないけど 一通りを修練するには 最低でもこれくらいの期間はかかると思う もちろん 手術のさまざまな落とし穴(ピットフォール)を経験して 安定するレベルに達するにはさらに5年くらいかかっちゃうんだけどね・・(すくなくとも自分の場合は こんな感じだった もっとすごい天才的な外科医もいるんだろうけど)

でも ザンネンなんだけど 経験年数とスキルは かならずしも比例しない 何年やっても下手な外科医はヘタ・・こればっかりは仕方ない・・・

経歴

できれば 早い時期から外科の研修をしている方がいい

だって 外科のトレーニングって 早くても24歳からしかできないんだから 正直 技術職としては かなり遅いスタートなんだ  だから内科とかをやって 30歳過ぎから外科に転向する とかは かなりのハンディキャップ  もちろんスゴくまじめな努力家なら なんとか追いつくかもしれないけど それでも早いに超したことはない

あと とにかく忙しい病院に勤務してたほうがいい これは病院のHPを見ると症例数とかがでてるので 調べればわかる

学会の専門医(認定医)

これは マスト!

繰り返しになるけど 医師免許っていうのは まあ 最低限というか 車の運転免許くらいかな とてもじゃないけど タクシーやバスのドライバーとして仕事なんてできないのは わかるよね  だから 学会の専門医は必須なんです

ただ注意しなくちゃいけないのは なんの学会なのかということ  今 厚労省が認めているのは ここに挙げた18領域で 基本的には このどこかの専門医でなくてはならない

機構による専門医以前の外科医は これに当てはまらないけど それでもなんらかの外科系の専門医を取得してた方がいい 形成外科にかぎらず外科・脳神経外科・耳鼻科などでもかまわない(上手い外科医は なにやらせても上手い ほんと!)

もちろん 持ってるから上手いってわけじゃない  必要条件だけど十分じゃない  でも 専門医くらい取れないようじゃ どーしようもない だって「普通に」「真面目に」研鑽すれば 取得できるから  私的には 最低限の知識と技術でもって 安全に手術ができるという専門医資格は必須ですわ そうじゃないと ちょっと子難しい手術とか 怖くて教えられない

あと美容外科の専門医なんだけど 2つ流派があるのと 実態もちょっと いろいろとややこしい このあたりはデリケートな問題なので また改めて話します  今の段階ではスルーしてもいいと思う

指導医っていうのもあるんだけど まだ整備中なので これもスルーでいい

注意するのは ○○認定医 という 非公式なやつ

ボトックスとかヒアルロン酸 あるいはレーザーの機器名とかが 冠につく認定医の多くは ちょこっと1日くらい有料の講習会に出て 業者とお抱え医師のレクチャーを受けると 取れる

まあ なんにも知らずに やるよりはいいとは思うけど わざわざ取るほどのものでもない という感じかな 私ならスルーする情報

あと 学会の会員というのは 基本 医師ならどこの学会の会員でもなれる だから美容外科医なら 専門医取得した学会と美容外科学会 さらにもう一つくらいで 十分だと思う

これでもかっていうくらいに 所属学会を羅列しているプロフィールを見ることがあるけど そのこと自体に 価値はない(会費をスゴくたくさん払ってる っていうのはある) だからここも スルーしていい

留学経験

う〜〜ん これはあんまり 関係ないかな・・

私は 台湾とスウェーデンに留学したんだけど 日本ではほとんど経験できないような症例数を 短期間の間に実際に手術させてもらってた  ほんとにすばらしい経験だったけど 正直 今の時代 情報はどこに居ても比較的楽に手に入れることができるので かつてほど留学の価値はないと思う  日本と海外の技術の差も 減ったしね

たまに これって1~2週間 見学しただけじゃん ってわかる内容を「留学」にしてるのを見かける  詐称とまでは言わないけど ちょっとね・・

ま いずれにしても 留学経験は スルーしていいと思う

(ちなみに 私が教授時代の部下には みんな留学にいってもらった  医療をめぐるさまざまな価値観やグローバルなコミュニケーションを学ぶのには とても役立つからね  それに やっぱ異国に住むって楽しいし)

論文

これは 評価が分かれるところだけど 私は それなりに評価してる

論文を書くって たいへんなんだよ  データをまとめたり 海外のジャーナルなら英語で書かなきゃならない  それからなにより 膨大な量の海外文献(英語で書かれた論文)を 読まなくちゃならない これってけっこうタフな作業だよ

アタシも 研修医のころに 論文を書きなさい って先輩に言われて もうほんとにイヤで嫌でたまらなかった なぜって 英語の論文をたくさん読まなきゃならなかったから・・  1編読むのに 4~5時間かかってたんじゃないかな  夜遅く勤務が終わってから 辞書片手にやってた 今みたいにgoogle翻訳とか ないから ほんとたいへん  でも このシンドイ経験が ほんとに役だった! なぜなら 今は 5分もあれば ざっと読んで内容を把握できるから 毎月医学雑誌を読んで 情報をアップデートしてる 

医学って 日進月歩で 今日の常識が 明日には非常識になってたりする  だから いち早く情報を取得しないといけないんだけど 英語が読めないと たぶん1年以上は遅れる

ときどき まだこんなことやってんの! っていうアプローチの外科医を見かけるけど たぶん 英語が読めないか 自分を神と信じてるかの どちらかだと思う

もちろん外科医の腕前とは 必ずしもリンクしないけど 最新の情報を知ってれば 手術の安全性とか合理性とかは まちがいなく高いといえる  そう言った意味では 論文(とくに英語の論文)を 5本くらい書いてたりすると 信頼度は ぐっと上がる

学会発表

これも比較的 評価できる

なぜなら 自分の仕事の結果をデータ化して 統計処理をして発表する っていうのは外科医として大事なアクションだから   しかも論文ほど堅苦しい分析はいらないので 外科医にとってはハードルが低くてよい

発表をたくさんしている外科医は つねに結果のフィードバックをかけて 最新の情報をピックアップする習慣がついているので まちがいは少ない傾向にある  それに聞いてる聴衆(同業者)からも 評価されることになるので 信頼度の指標にしやすい

役職

これは う〜〜ん むつかしいなぁ  あんまり関係ないかなぁ

教授が上手いか っていうと すごく上手い人もいたし そうでない人もいた もちろん教授でなくても 上手い人はいっぱいいるし そうでない人もいる

院長とか理事とかも まあ よくわかりません・・  スルーでいいと思います

書籍出版

医学系の書籍は あるていど評価できる 出版社も 売れないと困るので 業績や実績のない医師には執筆させないし 間違いを書かれるのも困るので これで信頼度は測れる

一方で 一般向けの書籍は ほとんど関係ない  商業色が強く とにかくインパクが求められるので 娯楽として読む分にはかまわないけど 外科医の評価とは関係ない

あと じつは ISBN付きでも 自費出版が多い 大手の出版社でも 今は本が売れないからね  アタシのところにも 幻冬舎から何回か依頼がきたけど 聞くと自費出版ということなので スルーしてる

マスメディア

商業雑誌は 基本 スルー  記事を装った広告が大半だし ステマも多い

テレビ出演も トークだけだから よくわからない・・(除くEテレ)

新聞は内容によるけど 医療系を専門とするライターによる記事は 評価できる

ネット系は ちょっと前にDeNAが叩かれたことで 記憶に新しいけど 今はグーグルが厳しく取り締まってくれてるので 上位にランクされるものは評価していい

その他

○○には 絶対的に自信あります!(ひとりごと?)

症例数No1! (母集団書いてないし 当社比?)

症例数 1000例以上! (結果示してないし やっただけ?)

ビックリマーク!付きでの セルフブランディングは とにかく性根に恐れ入るゎ・・・

とうぜん スルー ってか これって もしかして一般の方に刺さってるのかしら?

まとめ

ということで プロフィールで見るべきものは

1.卒業年度 2.経歴 3.専門医 4.論文・学会発表 でしょう

でも プロフィールでわかるのは 医師の全体の姿の約30%くらいのことです

あとの70%は また別の機会に

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