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禁書

もう ずいぶん前に上梓した 骨切り関係の本.おかげさまで多くの外科医や医療関係者の方が評価してくださり,いくつも重版を頂戴した.
ほんとに うれしく思っている.

でも これ 実は,禁書指定だった という話を 酒呑んでグデ〜ってなったときなんかに たまにするんだけど,禁書って聞くとみんな驚く.
でも,これって ほんとなんですわよー(笑)

もちろん発禁というわけではなく,ある大学の形成外科の医局では 禁書扱いになっていたという話である.

さいわい今はもう 禁書ではなくなったらしい(と聞いてる)ので,ちょっと書き記しておこうと思う.

そもそも このことを知ったのは もう10年ほど前になる.
くだんの医局の若いスタッフと 話しているときに 知った.

「センセーのあのクラニオの本 とってもわかりやすくて,重宝してます!」
「ありがとうー! 役に立ってるって聞くと ほんとうれしいよ!」
「ウチの若手のスタッフは みんな持ってて それで勉強してるんです!」
「ほんとに! いやー 苦労して書いた甲斐があるよぉー サンキュ!」

「でも・・」
「うん?」
「ウチだと 本棚に置けないんですよ・・・」
「・・・??ん  ゴメン... 意味がよくわかんないだけど・・・」
「本棚じゃなくて 机の引き出しにしまっておかないといけないんです・・・」

「・・えーっと・・よーするに 隠しておく・・ってこと?」
「・・・は・・い・・・」
「な・・なん・ と.イヤそれってつまり アタシの本,エロ本扱いってこと?」
「いっ いえ そんな・・」
「いや ゴメンゴメン 冗談だわ・・」

正直 驚いた.
ただ 彼のちょっと苦しそうな表情から 理由を聞かなくとも この本を読んだらイカンというお達しが そこの教授から出されてるんだろうと おおよそ見当が付いた.

もちろん,ほんとうの理由は聞いていないので,わからない.
ただ そういう背景に 思い当たるふしはある.(ここからはあくまでアタシ個人の憶測です)

その元教授というのは,自分より10歳以上 年の離れた外科医だったし,医局もまったく別だったので いっしょに仕事をしたことはない.

ただ アタシが駆け出しのころは,学会で会ったときに ”センセーも頑張ってるねぇ〜〜” なんて声をかけてくれていたし,アタシも ”あっ どうも・・・ありがとうございます・・・ガンバリます・・” ってくらいの挨拶はしていた.

ところが ある時くらいから,マウンティングされるようになったんだ.たぶん自分の仕事が少しずつ評価されて,海外の学会で講演したり,論文を出したりしていったころだと思う.

そのころのアタシは いささか生意気ではあったけれど なにより そういうことが大嫌いだったこともあって,はっきりと拒否の態度を示したことは 覚えている.
それ以来 ことあるごとに 絡まれることが増えた.

それにしても 10年以上もご年配だし すでに地位も名声も手に入れられていらっしゃる方が,なぜアタシごときを・・ と思ったのだが,ちょっとここでは書けないようなことを いくつも経験した.
今で言うところの パワハラ,アカハラである.

まあ こうした経緯があって 発禁扱いになったのだろうと思っているが,それにしても男の嫉妬(なのかな?)というのは,実に厄介なものである.

「それじゃ センセーたち 命がけでアタシの本を読んでくれてるんだ! ありがたいねぇ〜(涙)」
「そ・・そんな・・命がけってほどではないんですが..でも見つかるとちょっと・・ヤバイかもです」 
「それじゃ まるで隠れキリシタン じゃないの〜!」
「はい・・まさにセンセーの本は 踏み絵・・ですね(苦笑)」

業界のトホホな 話でした・・・
書いてて 気分 下がったわ・・ 

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