記号としての顔 その2
マンガでは、顔の造作でキャラ設定を行い、表情のための動きをさせて物語を進めて行く。
画力が高ければ多彩なキャラクターにさまざまな感情を発現させることができるし、そうでなければそれらは乏しいものになる。
たしかに井上雄彦の描く顔は、無声でも雄弁に思いを語っているし、その一方でふきだしがないとなんの事やらわからない作風の顔もある。
でも、画力が低いから表現が薄っぺらいかというと、必ずしもそうではない。
たいして変わり映えしない目や口の表情であっても、豊かな表情に満ちた顔もある。
記号としての顔の造作や表情のパターンがあることは確かだが、それ以外にもっと力強いものがある。
それを知ることが、顔の真実に迫るキーになるのではないかと思う。
しかし、それは顔の治療を行う外科医にとっては、とてつもなく大きな課題なのである。