うそ
少し前に捏造論文が話題になったが、こうしたものは昔からよくあった。
学会でも、デタラメな(匂いの)発表をたまに見る。
でも、ウソや詐欺は普遍なんだろうと思う。
世界中、いつの時代にも同じような話がころがっている。
僕らも、スティングやオーシャンズ11などの詐欺もの映画が大好きだし、もうこれは人の習性と思っている。
ただ、ウソにもいろいろある。
相手を思いやる小さな嘘
お金の絡むイヤな嘘
ほら吹きの笑える嘘
虚栄の悲しい嘘
私自身は、7歳くらいに初めてウソをついた。
イヤだった、習字教室を休む理由でだ。
誰に教わったワケでもない。
でも、とても後ろめたくて、挙動不審だったのだろう。
その場でばれて、ひどく叱られた。
もう止めようと思った。
ところが、医師になったら、またウソをつかなくてはならなくなった。
癌の告知だ。
当時は、まだ患者さんに本当のことは伝えない、と言う風潮だった。
だから、病棟に行くたびに、ウソをつかなくてはならない。
「ええ、検査の結果は、すごくよくなっていますよ」
(輸血したから、データが改善しただけなんです・・・)
「このキズがよくなったら、もう退院ですね」
(これから、絶対に良くならないんです・・・)
今は、こうしたウソをつかないで済んでいる。
なぜなら、形成外科では、結果が誰の目にも見える形なので、ウソのつきようがない。
だから、とても気が楽だ。
よければ、よかったね!だし、
だめなら、ごめんなさい、と言える。
そんなところも、形成外科が好きな理由なのかもしれない。