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PRS Picks 2106

PRS journal 今月のPicks

まずは Editor,MR.Rohrich のところから rhytidectomy 後のhematoma についてのメタアナリシス.

45年間,2391本の論文から血腫予防に効果的なエビデンスを検証するというもの.いや こいつはありがてぇ〜〜

で,実際に使い物になった論文というと 結局48本.そのうち Level II が9本,Level III は24本,残りはLevel IV・・・

う〜〜ん・・ やっぱ30本くらいかぁ・・・ しかし,でも ありがたいぞ! ほんとに.

なぜって,エビデンスをとるのって,すごく大変だし,科学的に信頼できるデータって いわゆる「ファクト」だから,市井の外科医にはお守りみたいな感じなんだよ!

さっそく 結果はどうだったのか 見ていきましょう.
検証は 術前,術中,術後のパラメータそれぞれで行ってます.

で,エビデンスとして得られた結果はというと,次の4つでした.

Strict Perioperative Systolic Blood Pressure Control between 100 and 140 mmHg Is Critical in Mitigating the Risk for Hematoma.

周術期血圧のコントロールには,β遮断薬,α遮断薬などだけでなく,抗不安薬や,pain, nausea, vomitting control のための薬剤もに含まれてる.
たしかに ずいぶん前のことだけど,抜管時に血圧が上昇して目の前でhematoma が発生! どんどん膨らんでくるのを見たことがある.さらにウチでは,PONV対策にondansetronを使ってるけど,こっちにも効果があることが判明(よっしゃ!)

Preinfiltration Facilitates Tissue Dissection reduces Intraoperative Bleeding, and is associated with low hematoma rates.

術中出血の低減と関連するっていうのは,ありがたい.なぜって血管の再拡張で出血しないというエビデンス頂いたから(よっしゃ!).

Tranexamic acid has gained momentum as adjunctive interventions in rhytidectomy to decrease hematoma rates.

このところ整形領域でメジャーになってるトランサミン.ウチも数年前から導入してるけど,FLにも効くってことで,むふふ・・よかったです.

The Second-Look Technique and Trendelenburg Positioning for meticulous hemostasis decrease hematoma rates.

クラシカルなアプローチっていうか,外科の基本でもある,止血操作.当たり前ではありますが,今一度,肝に銘じます!

で,まとめると,これらのどれっていうことではなく,multimodal approach is ideal to minimize the rates of hematoma after rhytidectomy. ということでした.とてもよい論文でした.一読をおすすめします.

ちなみに ドレーンはっていうと
Drains Do Not Reduce Hematoma Rates but May Be Beneficial in Reducing Seroma and/or Ecchymosis.
ということでした.同意するな・・もう何年もドレーン入れてないしね.


つづいては,いわゆるinverted V deformity についての検証.

hump resection では,middle third narrowing が生じやすいし,機能的にも通気障害が問題になるので,spreader graft をいれましょう っていうのが,まあ一応のコンセンサスになっているんだけど,「それって ほんとに要るんでしょうか?」っていうもの.

結果は,「多少の変形は生じるけど,患者は満足してるし,専門家の見立てでもさほど悪くはない.まあ15%くらいの症例では,spreader した方がよいかもだけどね・・」というもの.

おっと! 要らんの? スプレッダぁ〜〜! これまで一生懸命やってきたけど,まあ確かに,ちっと太めかな・・という印象の時もあった.でも,あきらかな inverted Vで怒られたこともある.このあたりは,なんとも,整容っていう不確実で評価不能の分野だから仕方ないけど,こういう一面があるっていうことなんでしょう.

ちなみに,Toriumiセンセーがコメント入れてて,相当キビシイことを書いてるかな・・と思ったら,案外優しい感じでした.if we are going to strive for aesthetic and functional excellence we will need to “preserve when possible and reconstruct when needed.”

やり尽くした外科医が到達する境地なのか・・・


3本目は,これ.インスグラムで集客する際に,外科医の名前は そのスキルを想像するバイアスになるのか,っていうもの.スゴイ調査だわ!

同じビフォーアフターの写真に,白人系アメリカ人,アフリカ系アメリカ人,ラテン系,ユダヤ系,中東系,南アジア系,東アジア系の名前を付けて投稿し,それぞれの反応(social engagement)をみたもの.

これは実際に読んでもらった方がいいのですが,あきらかな有意差が生じたものは,ありませんでした.しかし,ある一定の傾向は見られており,そうだよな〜ってうなづけるものです.
マーケット側の分析も詳細に行っており,相性の点での解析も興味深いものがあります.


これ以外だと,Effects of Botulinum Toxin A on an Incisional Hernia Reconstruction in a Rat Model. なんかもおもしろかったです.こういう雑食感は,形成外科ってかんじで好きです.

最後に,Career Development in Plastic Surgery という論説から,いいなと思った2つのパラグラフをご紹介しましょう.一流の外科医は とうぜんですが 賢者です.

Fame, fortune, and family constitute the “three Fs,” which is a life balance wheel constructed by Dr. David Hidalgo to describe the three fundamental aspects of a plastic surgeon’s career.

Fortune portrays all aspects of practice. This involves both monetary and “psychic income,” the former being from practice and the latter from the satisfaction of treating patients. Dr. Hidalgo warns that the fortune in terms of monetary gain can easily lead to negative consequences.

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