骨切りよりプレート抜去のほうが腫れるのか
答え:腫れません
理由は,医学的に考えるとすぐにわかる.
1.剥離範囲
骨切りに比べ,プレート抜去のときの剥離範囲は,ゼンゼン少ない.
骨を安全に切ったり移動させたりするには,必要な範囲の剥離(骨をむき出しにすること)が必要なんだけど,これが結構な範囲になる.だから骨切りの術後は,腫れる.
いっぽうプレート抜去のときは,プレートを入れてあるところまで剥離をすればよい.頬骨だったりSSROだったら,粘膜を切って1センチちょっと進めば,プレートに到達する.初回の手術と比較すると,剥離範囲は,たぶん1/5くらいだと思う.
ということで 剥離範囲の少ないプレート抜去のほうが 腫れにくいです.
2.手術時間
手術時間は,まったくもって短い.
何年も経って,骨にがっちり埋まり込んでいるようなことがなければ,ひとつのプレートは10分前後あれば,取ることができる.
ということで 手術時間の短いプレート抜去のほうが 腫れにくいです.
3.出血量
出血は,圧倒的に少ない.
みなさん,手術前に血を採って検査したと思うけど,せいぜいそれくらい・・
なにせ 骨を切らないから 少ないんですわ.
ということで 出血量の少ないプレート抜去のほうが 腫れにくい.
じゃ なぜこんな都市伝説が 流布するのか
ここまで読むと,骨切りより腫れないんだ って思いますよね.
でも,実際には それなりに腫れることもあるんです・・・・
(もちろん骨切りよりは腫れないけどね)
理由は,レジデントがする場合があるから.
プレート抜去は,固定してあるプレートを取ってくるだけなので,さほど難しいわけでもない.
しかも骨切りの時と同じアプローチなので,まずはこの視野になれるってことで,シニアレジデントに任せることも少なくない.
となると,剥離範囲がちょっと広くなる,時間がかかる,出血もちょっと増える,結果,思ったよりも腫れる・・・ということが理由です.