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よい外科医は失敗を共有する

久しぶりの学会だ.

JSASといって 開業医が主体となって創設された学会で,双子の日本美容外科学会のお兄さんにあたる.

歴史的には,JSASの方がちょっとだけ,早く生まれた.でも双子ってたしか 先に出てきた子が,年下だったような気がするので,弟になる?? ま,どっちでもいいけど・・

学会は,新しい治療法や,これまでの治療の長期結果などをまとめて,発表して,それを参加者と共有する場だ.

本物のプロの外科医は,上手くいかなかったこと,たま〜〜に生じる合併症,いわゆるpitfall(落とし穴)などを,自身の経験を元に,詳細に報告してくれる.

もちろんアタシも,そうしている.

一方で,「上手くいったことしか」報告しない外科医も 少なくない.いわゆるチャンピオン・ケースだけを陳列して,どーでしょうか,アタシの結果,スバラシイでしょう! というショーみたいなヤツだ.

こういうプレゼンは,ツッコミどころが無い(あたりまえ だけど・・)ので,質疑応答の時間も,フロアはシーーーンとしてる.
まあ,そりゃ,シラけるわいな・・・自分に酔ってるアナタを目の前にしたら・・

プロフェッショナルは,自分のミス,失敗,勘違いは,さっさと認める.
去年までやっていたことを,恥ずかしげもなく いとも簡単に変える.
そして そのことに 慣れてる.

なぜなら,それが患者さんの利益になるから.
それまでに受けた方が,かわいそうって? そうは思わない.
その時点まででは,最高,最良の治療だったし それを提供できたのだから.

そういえば いつぞやの学会の発表の際に こんなやりとりを ある重鎮マウンティング先生としたことがある.

「今のセンセーの発表をきくと ○○法はダメってことですよね〜」
「はい,そのとおりです」
「いやいや たしか 3年前の発表の時には ○○法がいいって言ってたと思うんですよねぇ〜(薄笑)」
「はい,そのとおりです」
「ちょっと・・いや(テメー) なんていうか それって センセー(テメー)にはポリシーって ないの?」
「ありますよ.その時に患者さんの最大限の利益になることをする っていうポリシーですが,なにか・・」

医療は日進月歩.昨日までの常識が,今日は非常識になる.

治らなかった病気が,新しい薬や手術のおかげで,今日は治る.
逆に,それまで用いていた薬や,手術は消えてなくなる.

それが医療・医学なんです.

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