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そこに至るまでの時間 いわゆる仕込

サッカープレイヤーが試合中にボールに触っている時間は 2分前後.
タッチ数では40回ほど といわれている.
また 一試合で10Km以上走る.その一瞬のタッチのために,奇跡的なパスが繋がるために,いったい どれほどの時間を練習に費やしてきたのだろうか.

ときどきお世話になってる一流のお鮨屋の大将に,お客の目の前で調理するのって手元を見られてるし,緊張しません? って聞いたことがある.
いえまあ最初はそうなんですが,仕込みがきっちり出来てれば そんなにたいへんじゃあないんですよ,と.

ピカソが わずか1分ほどで描き上げたドローイングに 高値をつけたのに対し
「たった1分の仕事で いい儲けですね」 と言った人がいるらしい.
「いや,40年と1分だ」 とピカソが答えたという逸話もある.

しずかに その時をまちつつ 黙々,粛々と仕込を行う.
ちいさな子どもが 一心不乱に本を読む姿と 重なる.

手術といっしょだなぁ~ と思う.

解剖を理解し,手技を洗練させ,常に失敗から学び,それをただただ繰り返す.
手術の前に,なんどもシミュレーションを繰り返し,最善のアプローチを模索する.

骨切りは,難しいが,決してキケンではない.
ただ,リスクの高い手術を安全にするために どれだけの時間と努力を要しただろう.

粛々と仕込をする姿は いつも うつくしい.

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