非嫡出子

自治医大さいたま医療センター形成外科の山本直人教授が
9月の研究会でお話を伺いたいと お声がけくださった.
昨年の神戸での形成外科総会のシンポジウムで
「非嫡出子」と題してお話させて頂いたことに 興味を持って下さったようだ.
ご存じの方も多いと思うが,形成外科と美容外科の関係は,なかなか厄介な状況にある.
これは,日本には美容外科学会が二つあって,それぞれが未だに別の立ち位置で活動を続けていることからも わかると思う.
アタシは,形成外科がもっとしっかりと美容外科を取り込んでいく姿勢を,示した方がいいと思っているのだが,いかんせん学会という組織がどうにも煮え切らない.
そんな状況を どう捉えたらいいのかいな・・と考えてたところ,ふっと思いついたのが妾の子(非嫡出子)としての美容外科の立場だ.
いまや妾は死語なんだろうけど,昭和30年代生まれのアタシが子どものころは,身近にそう噂される女性やその子どもも居たし,テレビや新聞などでも有名な政治家を揶揄するときによく使われた言葉だった.
「奥さん知ってる? あそこのお屋敷に居る綺麗な方,〇〇先生のお妾さんなのよ・・・」
形成外科は,形を取り扱う外科であることは,だれも疑問に思わない.
だから施術内容としても,美容外科と重なるものが少なくない.
ところが,保険の範疇で行う内容は形成外科の疾患となり,自費では美容外科の疾患となる.

そういった意味では,形成外科も美容外科も兄弟みたいだと思うんだけど,なぜか形成外科側は 美容外科サイドを疎ましく思っている.
そこには もちろん美容外科の方が 儲けはいいし綺麗な仕事ばかりしている といった思い込みに近い嫉妬のような感情があるように思う.そうした関係性が,嫡出子と非嫡出子との関係に似ているんじゃないかなぁ と思った次第・・・
もっとも非嫡出子が日陰の存在というのは,もはや昭和から令和の時代になってすっかり変わってしまった.
かつて法的にはとても弱い立場だったが,今は嫡出子との差別はなくなっているし,世間のイメージとしても 多様性のひとつとして受け入れられている感じがする..

そんなワケで その時のシンポジウムで「非嫡出子」というタイトルで 形成外科における美容外科の立ち位置を解釈してみた内容を話したが,なかなか好評だったと,講演のあと何人かから聞いた.
まあ ただ美容外科は,いまだに医学界のなかでは日陰っぽいのは変わらないケドね(笑)
ということで,9月に少し内容を膨らまして お話させて頂きます.医師であればどなたでも参加できるとのことですので,よろしければぜひ.
