よしゆきせんせい
こちらも、有名な吉行淳之介先生
しばらく前にNHKの朝の連ドラで 「あぐり」をやっていたが、その中に出てくる吉行あぐりとエイスケの子どもにあたる。
もちろん小説家としても有名だが、エッセイ、対談の名手としても知られる。
どの小説にも漂う空気が好きだったが、対談集もたくさん読んだ。
今は、絶版になってしまったようだが、『四角三角丸矩形』 創樹社、1974年は、そうした多彩な彼の活動をまとめたような、いわばベスト盤のようなものだ。
表紙裏には、マリリンモンローがベッドでシーツにくるまり、ミルクセーキを飲んでいる白黒写真が載っている。
手に入れた中学生当時は、かなり、どきどきした。早熟なエロ中坊だったのかもしれない。
軽妙洒脱なエッセイ、書評、遠藤周作、澁澤龍彦、川上宗薫、島尾敏雄といった著名人との交友録、団伊玖磨、北杜夫らとの対談、鼎談。
本というよりも、ハードカバーの雑誌といった体裁に近い。
吉行が、その3年ほど前に初代編集長として「面白半分」という雑誌を発行しているのだが、それにも通じるものがある。
(「面白半分」は、本当に面白い雑誌だった。面白半分 – Wikipedia)
この世代の人たちの多くが、戦争や大病などで死を意識した経験を持つ。
あるいは、大きな価値観の転換に動揺している。
文脈に漂う斜めに構えた風情は、おそらくこうしたことから醸し出されているのだろう。
私は、吉行先生の、腹の据わった諦観に裏打ちされた、貪欲に自由へ向かう強い生のベクトルが好きで、
そうしたことから、まさに、先生なのです。