均衡価格
今はずいぶんと減ったが、以前は鮨屋に行くと、
「あわび 時価」
といった札をよく見た。
刺身のあわびにはあまり興味がないので、ふーん、あわびって人気で高いんだ、くらいにしか思わなかった。
好きな人には、たまらないものらしい。
価格は、需給関係における均衡で決定される。
つまりモノの市場価値は、社会におけるニーズに比例する。
ただ医療は、本質的に均衡価格とは無縁である。
あるいは、影響されるべきではない、という社会通念が存在する。
しかしそれだけでは、もはや日本の医療は、立ちゆかない状況にあるのも確かだ。
理由は、人がどんどんわがままになっているからである。
わがままを、医療技術を使って叶えようとする。
「以前のように、山歩きがしたい」
「若い頃の、シミのない肌になりたい」
「あの頃のような、楽しい気分で毎日を暮らしたい」
アンチエイジングと言い換えることで、前向きでポジティブなイメージにしているだけで、本質はわがままだ。
無理難題をふっかける、気分屋の一般消費者と同じである。
医療は、こうしたニーズに応えるのが本質なのだろうが、「均衡価格」という概念を導入しない事には、もはや需給関係を健全に保てない。
ただ、なにがわがままなのかを、国民は決められないだろう。
供給側が、健全と考える医療サービスの供給レベルを、決めてしまうのがよいのだろうが、それも難しいだろう。
なぜなら、グレーゾーンでの仕事でも、保険により対価が得られるからである。
う〜〜ん、医療と市場。
う〜〜ん、難しい。