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よい鼻とアートと手術

鼻の手術は、とても難しいと思う。

その理由は2つある。

1つは技術的なことと、もう1つは芸術的なことである。

鼻は実際、長さで5~6㎝ほどしかない。
この中で、鼻尖と言われるところは、約15mmほどで、ここでの1mm 単位の変化が、さまざまな印象を生み出す。

だから手術中は、時計職人のように小さな世界で、気の抜けない作業が要求される。

もう一つは、鼻の形に正解がないことだ。

もちろん患者さんの希望に沿った形に、できるだけ近づけるようにするのだが、
その形が具体的なことは、まれだ。

「すっとした」「細くて」「ちょっと尖った」「でも女優の○○みたいなのはダメで」
アンジェリーナ・ジョリーみたいなんだけど」「外人ぽいのじゃなくて」

・・・・??・・?・・????・・!!・・

粘土細工で作ってきて頂けると、よいのだが、
なかなかそうもいかず、悩ましいところではある。

でも患者さんは、自身が納得できるよいバランスの「顔」になりたいのであって、
「きれいな鼻」を求めているのではないことはわかる。
しばしば、写真広告のモデルの写真を持参される方もいらっしゃるが、
その鼻の形というよりも、佇まいや雰囲気を示しているように感じるからだ。

だから、その方の雰囲気にあわせたがコーディネートが必要で、
そういった意味では、スタイリストのような技術が要求されるのかもしれない。

こんなわけで、鼻の手術は技術とアートの交錯するふしぎな医療分野だ。

形成外科を生業にする者としては、チャレンジングで、きらいではない。
いや、はっきり言って、好きである。

でも、ほんと、むつかしい。

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