美容外科学会2012
そういえば先日の美容外科学会(大森系)は、なかなか考えるところの多い集まりだった。
一番は、美容医療の対象と手技がこのところどんどん広くなっていて、
もはや美容外科という名前では収まらないところに来ていることだ。
以前は、その名の通り「手術」を基盤とする美容医療がほとんどであったが、
今や手術以外のアプローチの方が圧倒的に多い。
このことは、美容医療を志す医師のトレーニングをどのようにするか、という問題と直結する。
現在のところは、形成外科専門医の上の subspeciality として位置づけられているため(大森系の場合)、
基本的に形成外科のトレーニングが必要となる。
ただ今の美容医療の内容からみれば、皮膚科、泌尿器科、耳鼻科、内科、麻酔科など
それぞれの専門性が生かせる分野も多く、形成外科のトレーニングが必須とは言い難い。
しかも形成外科専門医には、先天異常から再建、外傷などの経験が課せられているが、
美容外科との関連性を考えるとそれらが必須というには、説得力に欠ける。
(やらないより、やった方がいい・・という議論ではなく、必須かどうかで考えるとだ)
今の美容医療を括るカテゴリーは、基本診療科のどこか1つの枠に収まるものではないと思う。
もちろんこのことは美容外科に限らず、他の診療科においても同様で、
時代と共に枠組みがオーバーラップしたり、横断的にリンクしたりする。
subspeciality の扱いを巡る悩みは、同じだろう。
お上の縦割りと、民間の水平的ネットワーク。
政治誘導か、規制緩和か。
残念ながら、妙案はない。
しかし少なくとも、これを解決しなければ、2つ美容外科学会の統合はむつかしい。