ニンニクの価値
「どんだけ貧乏なんやねん・・・」
時々お世話になっている食材屋の兄ちゃんが、つぶやいていた。
さっきすれ違ったおばちゃんが、高すぎるとでも言っていたのだろう。
そこは、安全でよい品を揃えている店だ。
多少、値が張るものが多い。
その辺のスーパーなら150円で手に入るニンニクが、300円する、というレベルだ。
高いと言われれば、そうかもしれない。
モノの価格は、価値で決まる。
しかし価値の本質は曖昧で、多様性があり、流動的だったりもする。
だから、価格も同じ本質を持つ。
物心がついてから、さまざまな価格とその価値を経験してきた。
その時に得をしたり損をしたり、後になって価値が上がったり下がったり、いろんな対比を見てきた。
おかげで、50を過ぎてようやく、多くのモノの価格を見定められるようになった気がする。
今は、この店で食材を買う。
なぜなら、ここのニンニクは本当に美味しいからだ。
アーリオ・オーリオにした時の香りが、ちがう。
とても、深く甘い匂いになる。
幸せにしてくれる香りは、私にとって300円の価値がある。
それと、よいものには、敬意の価値を払いたいとも思う。