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緊張する手術

私は、26歳から手術を始めた。
もう30年もやってきたことになる。

今でも少しずつではあるが、同じオペなら時間は短縮しているし、出血量や合併症も減っている。これを成長というのか、熟練というのか、あるいはただの慣れというのかわからないが、幸いにもさほど周りに迷惑をかけていないようなので、もう少し続けてもよいのだろう。

ただそうは言っても、まだまだうまくいかないこともあって、修練が足りないと感じることもあるのだから、オペというのは奥が深い。

なぜ、オペは難しいのか。
いくつか、理由がある。

まず患者さんのからだは、どの方のをとっても同じではないし、病気の状態もさまざまなので、常に初対戦をしているようなものだ。
前回はいたって順調にうまくいったのが、今回はなぜか難しい、といったことは少なくない。そういった意味では、ある術式を完璧に修得する、ということは永遠にない。

またオペは人が行う作業なので、いくばくかはその日の体調に影響される。慣れた動作でもちょっとした加減が変わって、それが意外にやっかいな事を引き起こしたりもする。
それ以外にも、目が悪くなる、体力が落ちる、集中力が低下するなどの加齢による変化も手術に影響する。このあたりは、プロのアスリートと同じだ。

わたし自身もこうしたことをたくさん経験してきたが、そのなかで、できるだけ安定したパフォーマンスができるように、気を付けていることがある。
それは、楽しい緊張感だ。

このあたりのニュアンスは、一般の方にはなかなか理解してもらえないかもしれないが、一言でいえばリラックスということになろう。
よっしゃあぁ〜、ばっちりじゃ! という勝ちイメージと
ハイ、予定通りですね、という少しさめた気分が同居するとでも言おうか。

正直ね、これって、日常ではほとんど味わえない感覚なんです。
やめられない感じなんです。

だからこそ、メスを置くタイミングは、気をつけなくっちゃ、って思います。

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