プロへの敬意
「あのー ***法についてなんですけど・・・先生はできますか?」
患者さんからの 術式についての質問だ.
「あーー えっっと まあそれは ふつうの外科医なら できると思いますが・・」
「あ そうですか.わかりました.あとそれから..ある先生は 最近はOOO法(術式)をやるようにしてて いい結果になるって言ってたんですけど 先生はどう思いますか?」
「・・・っと それはもう20年以上前から やってますね・・・てか それってこの分野だと もう常識だと思うんだけど・・・」
「あ そうなんですね.わかりました.じゃあ XXX法についてなんですけど・・・」
手元のノートに びっしりと質問事項がかかれているのを見て おもわず
「あっ ごめん 時間も限られてるから まずはアナタがどうしたいかを聞かせてもらって 方針を決めてから 手術方法の詳細を説明したほうがいいと思うんですけど・・」
と質問をさえぎってしまった.
みなさん 術式に興味があるのは 知っている.
それが 結果に影響している,と思い込んでいるからだろう.
(しないとは言わないけど,単純な関係じゃない・・理由はこちら)
でも あまりに基本的というか 常識になっていることを聞かれても 正直 答えるのは面倒だ.
それに大事なカウンセリングの時間をムダにしたくない.
術式の解説よりも どう変わりたいかをできるだけ詳しく聞いて その方の皮膚や骨の条件を詳細に調べて 最適な治療方針を提供することに 時間を割いた方がいい.
なぜなら それがもっともよい結果を提供できるアプローチだから.
すくなくとも ジブンは,そう信じている.
たとえば 美味しい食事を楽しみたいとき,アタシは ざっくり好き嫌いを言うくらいで あとは調理人にお任せする.
なぜなら,旬のものや 出来のいい素材 それらの上手な調理法など,彼らの方がよく知っているから.
プロの仕事を信頼していると いってもいい.
プロの仕事について 中途半端な質問は しない.
おいしいか そうでないか.
楽しいか そうでないか.
結果がすべてだと 思っている.
それがプロフェッショナリズムだと思うし,それには敬意を払いたい.
じゃあ ちょっとお味が・・って場合には,どうするかって?
そのときは,自分の見立てが悪かったと 諦めて静かに去るだけだ.
(グルメじゃないので 実際はほとんどない・・・てか,今時のご飯は,どれも相当旨いぞ!)
だから クリニックの相談にいったら,まず「自分はこうなりたい」というのと「好きと嫌い」をしっかり伝えましょう.そうすれば,どんな提案(メニュー)を示してくれるかで プロフェッショナル・スキルを計ることができる.
あとは,その中から好きなメニューを選ぶだけだ.そして選ぶのは,ジブンだってことを忘れずにね.
PS:もう少しで,大好きな鱧の季節!
隠し包丁も 職人にとっては当然の仕込みなんだけど
「鱧って 包丁を入れて骨を切るって聞いたんですけど 板さんは 入れますか?」って聞かれたら・・ねぇ〜