センセー アイツ、もうヘタスギ!
そうだなぁ・・
まあ手術の上手い下手っていうのは、あるからなぁ。
先生は、器用で上手いから、きっと、何でアイツあんな下手なんだ、って思うだろうよ。
止めさせた方がいいんじゃないか、とかさ。
それって間違った考え方ではないんだろうけど、ちょっと違うと思うな。
もしね、上手い人だけが手術をすればいいってことにしたら、日本の医療は困っちゃう状況にならないかね。
だって、先生が考えるレベルの上手い外科医って、そんなにたくさんいないじゃない。
そうしたら、手術を受けられない患者さんであふれかえることになるよ、きっと。
どんな上手い外科医だって、1年でこなせる数ってあるからね。
まそんなわけだから、今はね、どうしたら「あるレベル」でできる外科医が、どんどんと育っていってくれるのかな、と考えている。
ただそこで頭を悩ませるのが、どのくらいのレベルの外科医療が提供できればいいのか、ということなんだ。
で、ひとつの物差しとして、このところ流行っている標準化っていうのがある。
でも、たぶん・・・
これは、外科系には馴染みにくいと思う。
なぜなら、治療のコアのところが、薬とかと違って、個人の技量に依存しているからで、
とくに、難しい手術になるほど、標準化しづらくなるんだ。
スケートの真央ちゃんだって、あんなに上手なのに、トリプルアクセルとかだと たまに失敗しちゃったりするじゃない。
つまり難しい技っていうのは、基本的に不確実なんだよ。
まあ、不確実だから、毎回できるひとがすごいってことになるんだけどね。
ただ、逆にいえば、手技の難易度が下がり、治療の確実性が上がる状況になれば、治療を標準化しやすくなる。
ということは、これからの手術の向かう方向は、
手術を簡単にしたり、あるいは器具などで自動化することなんだと思う。
そうすることで、手術の確実性が増し、治療が広まることになる。
もちろん、手術の上手い下手の差も減る。
どう、いいでしょ。
世の中のためになると思わないかい。
ミラード法が、あんなに爆発的に広まったのも、簡単そう〜って雰囲気が漂ってたからだと思うよ。
でもね・・・
そうは言っても、上手い外科医はぜったい、要らなくならないし、
これからは、付加価値が付く時代になる。
なぜって?
それは、また、今度、話すよ。
だから、先生は、これからも、もっともっと腕を磨いて下さい。
よろしく。
たのみますよ。