今の医局の人間関係に悩んでいます
本来なら、あなたのように真面目にていねいな仕事をしているドクターが、診療以外のことであまり苦労することなく、仕事をしてゆける環境があれば、それに超したことはありません。
ただ、そういう環境に居られることは今の時代きわめて難しく、どこに行っても嫌なことを避けることはできません。なぜなら医療は医学だけで成り立っているのではなく、社会学や経済、政策などを含んだものですし、なにより病院といえども普通の「職場」という環境の上に成立しているからです。
ですから職場の人間関係の問題というものは、病院という組織でも当然あると思って下さい。あなたが思うところの良い人たちだけの職場など、どこにもないでしょう。
私事で恐縮ですが、私もこれまでいろいろと嫌な思いをしました。
正しいことが曲げられる、弱い人が不利益を被る、といったことに堪えられないので、ケンカもたくさんしました。上司にもずいぶん噛みついて、「おまえとは今後一切口をきかん」とか、「○○病院へ、飛ばすぞ」とか言われたものです。
でも、知らん顔をして粛々と仕事をしていました。
自分の職場だけでなく、業界(学会)の中でも似たことを経験しました。
私があちこちの美容クリニックを手伝っている頃でしたが、そうしたことを臆面もなく学会で言ったりするので、一部の教授から面と向かってひどいことをたくさん言われました。きっと裏で言っている人も多かったことでしょう。
でも、たくさんの事を学びたかったので気にしませんでした。
そんな風に過ごしていても、世の中にはちゃんと見て下さる方がたくさんいて、私が困った時には手をさしのべてくれましたし、またいろんなチャンスも下さいました。そして、そうした方々の思いにできるだけ答えようと仕事に励んでいるうちに、不思議なくらい気持ちのよい環境が周辺にできあがってきたような気がします。
あなたの話を聞く限り、状況はさほど悪くありません。
やることは、はっきりしています。
患者さんが目の前にいて、あなたの治療を待っているからです。
まず正しいと思うことをしましょう。医療の原則は Patient first です。どんな治療であっても、患者さんが幸せになることが一番大事です。そうすればあなたの行動がぶれることはありません。
次にノーと言いましょう。本当に大事なことを守るためには、強い心が必要です。はっきりとノーと言うことでその気持ちが周りと自分とに伝わります。相手が理解するかどうかは関係ありません。
最後に仲間を増やしましょう。日本、海外に同じ思いの人はたくさんいるはずです。そうした人たちと、質の良い関係を築きましょう。困った時や苦しい時には、本当に支えになってくれるはずです。
単に枠組みとしての組織は、幻想です。そんなものの実態はどこにもありません。あなたの気持ちが依存している間だけ、存在しているものなのです。
仕事を行う上でほんとうに必要なのは、チームです。
人が集まってチームとなり、ミッションを粛々と遂行して行くのが、仕事の本質です。
あなたの強い思いがあれば、幻想の組織とは無関係にチームが育つはずです。
長くなりました。
また近いうちに。