かいこうせんせい
いわずとしれた、開高健先生。
やや高めのトーンの大阪弁で、選ばれた涼しげな、でも中身が詰まって重い言葉を、よどみなく繋いでゆく語り口が好きだった。
オーパのシリーズがテレビでも放映されたことがあるので、知っている人も多いだろう。
夏の闇、玉砕ける などの小説や、オーパなどの紀行文もよいが、私は、週刊プレイボーイに2年ほど連載していた「風に訊け」という人生相談も好きだ。
- 作者: 開高健,立木義浩
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1986/06/20
- メディア: 文庫
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若き悩める飢えたヤローに、辛く、厳しく、ときに甘く切なく人生訓をさりげなく説く。
そのどれもが、生きることに真正面から向き合うことを前提としている。
醒めた目で世を見つめ、「人間らしくやりたいナ」と静かにつぶやく一方で、ベトナム従軍記者として激しい戦闘の様を伝え、平和への思いを綴る。
そうした、燃え立つ炎は見えずとも、炭火のように深みのある熱を持った生き方が、この人生相談のやりとりに感じ取れる。
有名な人生訓を一つ。
編集者マグナカルタ
読め
耳をたてろ
眼をひらいたままで眠れ
右足で一歩一歩歩きつつ
左足で跳べ
トラブルを歓迎しろ
遊べ
飲め
抱け、抱かれろ
森羅万象に多情多恨たれ
補遺一つ。女に泣かされろ
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