PRS Picks 2202
PRS journal 今月のPicks
さて今月も さっそく いってみましょう!
まずは Rhinoplastyについてスウェーデンから.
Over projected nose に対して,columella 部分を skin + medial crus + mucosa を一塊として composite resection する というもの.
いやいや ちょっとこれってどうなん・・って.
もしかして コロンブスの卵??
ディスカッションでToriumiが指摘しているように,この方法自体は50年ほど前に報告されたもの.読み込んでみても よりどころとなる tripod theory の解説も これまで言い尽くされた内容で,特段あたらしいことでもない.
う〜〜ん 今の時代に なぜ・・・という感が拭えない・・
しかも closed approach なんだけど,「あえて」columellaを切る という潔さ.
ただ症例をみると いわゆる supra-tip break を持つoverprojectの症例で,なるほど これならよいかと思わなくもない.
スウェーデンにしばらく暮らした経験からいえば 彼らは常に「バランス」ということを合理的に考えている.つまり 仕上がりと侵襲のバランスということであれば,なかなかよい方法かもしれない.
IKEA的な発想というか,そこそこでまあまあになる っていう感じでしょうか.
なかなか おもしろかったです.
続いても,Rhinoplastyの論文.韓国 ES Dhong先生の施設から.
Onlay graft の吸収率について 3つの方法を比較したもの.
おっと! まってました!
対象にした方法は,次の3つ.
- Superficial Mastoid Fasciaをroll にしたもの
- Diced costal cartilage をSMFでwrapしたもの
- Sacral Dermal Fat をroll にしたもの
評価方法はボリュームではなく,通常の写真撮影による定点での2次元数値の計測.規格写真ではないのでいくばくかの誤差はありそう.
比較のタイミングは術前,術後1ヶ月,術後18カ月以降
で 結果はというと この図の如く(ちなみにこれはrhinion部分,他もだいたい同じかんじ)
いわゆる吸収率を ざっくり平均値でいうと
rolled SMF: 65%
Diced ca wrapped with SMF: 38%
Rolled sacral dermal fat: 50%
正直Diced ca については,ちょっと吸収率が高いかなぁ〜っていう印象だけど,他はだいたいこれまで経験したかんじに近い.
Diced caについては ラップしない方がさらに吸収率が少ないのはわかっているので,総合的に考えて autoを使うのなら Costal cartilage 一択だなと思いますわ. Donor site scar のことを考えても.
ただ ちょっと気になった点は,術後1ヶ月目を自家移植片の吸収が少なく、かつ腫れが治まっていると仮定して,吸収率を割り出したこと.
これは,なかなかむつかしい問題だけど,可能なら1.移植組織の体積,2,移植直後の写真 あたりを評価データに追加してもらえると,さらに信頼度の高い結果になったと思う.
でも,こうして数字にしてくれたのは ほんとすごくありがたいです.
地味な仕事なんですけど,こういうの好きです.
最後は,中国からzygomatic retaining ligament (ZRL)についてのfresh cadavor を使った詳細な解剖学的知見の紹介.
以前 Mendelson がレポートしてたかもしれないけど,ここまで zygoma 周囲のligament を調べたモノはないと思う.
わかったことは,ZRLは上顎骨から頬骨体部にかけて水平方向に走る骨膜と皮膚を繋ぐ膜状のものであり,いわゆるゴルゴ線といわれてきたmidcheek groove に相当する部分と一致している.そのためこのligament がgroove を 作る要因であることが強く示唆される というもの.
さらにdeep plane FL の際に安全にリリースする剥離方法にまで言及している.
う〜〜ん なるほどなぁ〜〜
自分自身,アジア人でのmid cheek lift は 20年程前に,RamiratzのEndo lift を数十例やって その効果があんまりだったのと,lift 自体がRejuvenation というよりも,妙な盛り上がりになってしまうことから,それ以降は手を出さないようにしている.
先月 紹介したFLの論文でもそうだけど,どうしても一方向に引っ張る というアプローチが納得できないので,今後もやることはないと思うけど,このリガメント. なにかに使えないかなぁ〜〜
なんかできそうだけど・・なぁ・・・
そんなわけで 2022年2月のPRSでございました.