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治療のアウトカム

少し前のことになるが、以前、手術で伺ったことのある、仙台の宮城県立こども病院で開催された、craniosynostosis研究会に参加した。

もう12回になる。
脳神経外科医と形成外科医が情報交換すること、考え方を共有することで、ずいぶんと治療レベルが向上したと思う。

でも、いくつか、発表を聞いていて、ちょっと気になったことがあった。

治療方法を考えるときの、バランスだ。

医療における治療のアウトカムは、さまざまなもののバランスで決まる。
医学的な結果はもちろんのこと、かかる期間やリスク、費用などだ。

さらに、子どもの治療を考えるときには、成長という要素は欠かせない。
先天性疾患の時は、その子が、20才になったときの、あるいは40才になったときの結果を、思い描かなくてはならない。

残念ながら、頭蓋骨縫合早期癒合症のパーフェクトな治療法は、現在のところない。
どれをとっても、良いところと悪いところがある。

だから、治療機関の事情や外科医の技術に応じて、いろいろな治療が行われているし、それで良いと思う。

しかし、治療法を選択する際には、アウトカムを構成するいくつかの要素を、適切に順位付けて、総合点が最高になるようバランスを取らなくてはならない。著しく点数を下げる要素があるのであれば、それをきちんと見極める必要がある。

医療機関に居て長く仕事をしていると、どうしても、その時の治療でよい結果を出したくなる。
専門家といえど、人がやることなので、仕方ないのかなとも思う。

静かに、遠い先の結果を見据えて、粛々と仕事をする。
そんなプロフェッショナルの成熟した佇まいが、求められるのだが、たやすいことではない。

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