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リラの卒業生

美容外科の手術は 習慣性がある という

わからなくは ない

気になっているところがよくなって ちょっと嬉しくなると また違うところが気になりだして 変えたくなる

そうこうしているうちに 体中にメスとか糸とかが入って それでも なんだか物足りない気持ちが 収まらない

「ずいぶん チャーミングになったなぁ・・ いつから通ってくれてるんだっけ?」

「センセイ もう 5年ですよ〜」

「そっかぁ〜 ・・もう5年かぁ〜 ちょっと 写真 見てみよっか・・」

最初のころの写真を 画面にうつしてみる

「キャー ひどいーー! 見たくないっ!」

「いや そんな悪くないで〜 これはこれで」

「そんなこと ないぃ〜〜〜 チョーー ぶっさいくっ!」

「ちょっと 不満げな口もとと 挑発的な目がさ ええやん しかも 笑うと鼻がでかくなって ぽわ〜〜んとなるし・・・そのギャップに萌えるわ・・」

「それは オジサンだけですっ!」

顔の造形は ほんとに複雑で 表情とも連携するから 人の手が入りすぎると魅力的でなくなって なんだかつまらなくなる

だから ある程度のところで その人の雰囲気を残しておかないと マネキンみたいな固くて量産型の顔立ちになる

「もう ぼちぼち  卒業しよっか〜」

「ええ〜〜〜そんなぁ・・・」

「たまに遊びに来るんは ええで」

「・・・」

「それか 10年くらい経って ほっぺたがびよ〜んって 垂れてきたらな」

「・・・う〜〜ん・・・」

「あ・・・でも もし そんとき アタシの手が震えてても 許してな できるだけキズは ズレんように縫うから・・」

「・・・あの センセイ・・・」

「ん?  なに?」

「・・・卒業証書ください・・」

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