1. HOME
  2. ブログ
  3. Journal Picks
  4. PRS Picks 2111

PRS Picks 2111

PRS journal 今月のPicks

さて今月も さっそく いってみましょう!

まずは 上海のグループからのOGSに関する論文.

ランダマイズドトライアルなんで,かなり信頼度は高い.

で,やったことは,CAD/CAMで作成したスプリントと,サージカルガイドと特注プレートでやったOGSの結果は,どっちが術前計画通りにできているか? っていうもの

いやこれは やるまでもなく結果がみえてるんじゃないの〜〜 って思ったら,やっぱりそのとおり
でも たぶん・・をしっかりとした数字に示すのがサイエンスなので,これもありがたい論文です.

そりゃ,イマドキ,家を建てるのだって,規格化された工具や部材を使って,そのとおりにやればキッチリきれいに仕上がるようになってる.

整形外科では もうかなり前から こうした治具を使って術前の計画通りにオペを行うことが一般的になっている.

OGSだけは まあなかなか市場規模やサイズのこともあって 進まなかった領域だけど,もはやそこまできてるって感じだ.

あとは ひとつだけ 懸念・・・
もし 計画通りに固定したら 思いのほか かわいくなかったら・・・

いや これって あるからさ・・実際・・ 
だからOGSは 厄介なんだわ.
でも あらためてこれからの時代の方向を示した 良質な論文でした.

つづいては Genioplastyのテクニックについての論文.

従来法では いわゆる魔女アゴ(オトガイの下垂)が起こることがあったが,これは過度の軟組織の剥離とmentalis muscle の再建の不具合によるものと言われている.

そこで No-degloving の術式を開発したので,その結果を検証してみた というもの.

結果をみると確かに有意差をもって Pog, Me の予想移動量との差が少なくなっている.
剥かなければ剥かないほど 予想外の変化は起きない ということなんだろうけど,疑問が2つ.

1.骨の移動によって予想される軟組織の移動 というのはあくまで側貌でのPog, Me での1:1の変化であって それに合致する,というのはわかる.ただ正面からはどうなんだろうか.つまり限定的な剥離により,部分的な軟組織のストレッチが生じるため,なにか不自然な形態にならないのだろうか.

2.切り出して移動するだけで 良好な形態となる症例であればよいが,骨の一部トリミングなどが必要なことが多いので,どのくらいの症例に適応できるのか?

でも,クリニックレベルに設置できて 被曝量が少ないコーンビームで解析可能なので,こうしたしっかりとした評価が出てくるようになって ありがたいです.

つづいては,Paramedian Platysmal band についてのカダバーとCTでそのメカニズムを考察したという論文.
おっっと 期待しちゃうねぇ〜〜

米国,オーストラリア,ドイツ,ルーマニア,英国の美容形成外科医が オーサーに名を連ねてる Multi-regionary clinical assesment だ.スゴイ.

Paramedian plasysmal band については なぞが多い.
ただ顔面神経麻痺の患者さんでのバンド発生の違いなどから,筋体の収縮で生じることはあきらか.

コレに異論を挟む人はいないが,治療法となるとあんがいやっかいで 思ったほど改善しない,最初はよかったが1年後には再発していた など外科医の悩みだった.

そうしたとき やっぱり頼りになるのは カダバー.
詳細な構造を観察する.個体差を検証する.多くの回答がそこに隠れている.

さらに生体での観察を可能にしてくれるのが 断層写真.生体での動的な観察や より多くの個体差を検証できる.

で 結論として

Muscular contraction of the platysma results in elevation of the most medial platysma muscle fibers, which are not attached in the fascial adhesion zone. The presence of a fatty layer deep to the platysma enables platysmal movement and anterior and inferior gliding of the skin and platysma when cervical soft-tissue laxity exists.

と述べており この治療の大家 イタリアのPelle-Ceravoloのアプローチを支持している.

いや〜〜 納得できる論文でしたわ〜 たしかにぃ〜〜って頷きながら読んでました.
筋肉を縛ってる場合じゃないな・・・精進します・・・

最後は エディタ ろりっく先生の なんで初回手術の鼻で失敗すんのかっていうご教授.

鼻はね・・ほんと難しいんですわ...はい.
いやもちろん どんな手術でも難しいのはわかってるんですが,なんというか 予測不能の感じがなんとも言えず いやぁ〜〜なことなんだわ.
でも逆に 予想通りになったときの快感もひとしおですが,それにしても 毎度苦労します.

で そんな不安を減らし楽しみを増やすには どうしたらいいのか,ろりっく先生が語ります.

Rhinoplasty remains one of the most challenging operations performed by plastic surgeons. The complexity lies in the ability to have a consistent and predictable aesthetic result. The unpredictability is mainly attributable to the interplay of manipulated internal structures and wound healing dynamics.

具体的には

1.WOUND HEALING
個人の体質に依存しますが,外科医側がやれることは minimal dissection and resection, meticulous hemostasis と説きます.はい まったく同感です.
フォローしてます,preservation とトラネキサム酸.

2.LACK OF STRUCTURAL SUPPORT
ここでもSEG一択と説いています.激しく同意! 
もうこれしかないです.固いとかなんとか言ったって,形が維持できなきゃ そもそも意味ないでしょっていう感じですわ.

あとalar shape contouring については,やっぱり補助的な支持構造の追加しかないようで 白人種の場合は,まずそうなんだろうなー って思います.アジアは もうちょっと別のアプローチでもいけることがあるので,そのあたりは攻めどこかな.

3.DEAD SPACE CLOSURE
1に付随する処置になりますが,spanning sutureをすすめているところが,新しいかも.
アタシもpitanguy lig を処置してますが,効いているような気がしてます.


そんなわけで 今回も読みごたえのあるPRSでございました.

関連記事