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形成外科から美容外科へ転身する?

ワカモノから相談を受けた.

「あの〜 今 形成外科やってるんですけど,美容外科に進もうかどうか悩んでるんです・・」
「ほうーー いいんじゃね.で?」
「いえ,いろいろと情報集めてるんですけど,やっていけるかどうか不安なんです」
「なにが?」
「えっと,ふたつあって,まず技術なんですけど・・」
「センセー,今,何年目だっけ」
「12年目です」
「じゃ,もう専門医も持ってるし,一通りやってきたんだよね」
「はい,それなりに」
「なら,ダイジョーブでしょ」
「ホントですか!」
「まあ,多少の慣れはいるけど,手技的には,そんなに変わらんよ」
「よかったです! 安心しました」

ワカモノ,ほっとした表情になる.

「ただね・・」
「えっ・・何ですか?」
「ちょっと聞くけど,手術の結果は,いいの?」
「ぼ ボクのですか? 手術の結果・・・ですか?」
「おお,そうだよ,仕上がりだよ」
「えーーっつ なんていうか,まあ普通だと思いますが・・」
「そっか・・」
「な・なんですか?」
「普通かぁ・・・じゃ〜 ちっと苦労するかもしらんな〜」
「普通じゃ ダメなんですか?」
「いや,普通でもいいんだけどね...」

ワカモノ,ちょっと不安げな表情になる

「で,もう一個は何なの?」
「あ,なんか美容外科って,営業とか集客とかやらないとダメって聞くんですけど・・どうなんでしょうか」
「まあ 多少はいるだろーなー」
「今まで そういう経験がないんで どーしたらいいのか・・」
「う〜〜ん まあ,アタシなんかぜんぜん営業トークできないし,やるとたぶん下手すぎてイヤミになると思うんで・・ほとんどしてないわ」
「それで大丈夫なんですか?」
「大丈夫ってどーいう意味じゃ!(笑)」
「いえ,スミマセン・・・なんていうか,美容外科でやっていけるのかっていう意味で」
「まーー とりあえずやっていけてるから,ダイジョーブなんじゃないかい.まあ患者さんも喜んでくれてるみたいだし,リピーターの方もいらっしゃるし」
「そうなんですね・・う〜〜ん・・・でも それって先生だからですよね〜」

ワカモノ さらに不安を募らせる

「いやいや イマドキの若い子は,アタシの経歴なんて興味ないよ.それよりも センセー,今も形成外科の外来診療してるんでしょ?」
「はい,やってます」
「で 患者さんに人気あるの?」
「ボクですか? え〜〜 まあ フツーっていうか・・」
「フツー・・・かぁ〜」
「いえ,年配の方とか,子どもには,やさしい先生って・・ときどき言われます・・」
「ふ〜ん なら人気があるんだ.じゃ 大丈夫でしょ」
「ホントですか?」
「疑ってるの?(笑)」
「いえ,そういう意味じゃなくて 形成外科って保険診療だし,自費診療の美容外科とは ゼンゼン違うと思うんですよ!」
「うんにゃ いっしょだよ」
「そうなんですか?」
「たぶんね・・・てか センセー,美容外科ってキラキラだと思ってるでしょ」
「はい・・」
「キレイな受付嬢が30度お辞儀のバッチリ接遇で,アロマの待合でお飲物出たり,診察室で真っ白な歯のイケメン・ドクターが満面の笑みで どうぞって・・」
「はい!!! っそっっつそうです!」
「ウチなんか,いきなり小太りのオッサンが,受付に座ってるんで,驚いて帰りそうになってる患者さん 多いで〜(笑)」
「そうなんですか!」 
「おお,ちょっとは安心したかね?」
「はい,だいぶです」
「まあ,美容外科っていっても医療だから,本質はそんなに変わらんと思った方が いいわ」


医療というのは,患者さんが困っていることを,解決して差し上げる,のが本質になる.
で,解決というのは,「○○してもらって,ほんとによかった」と感じてもらうことなんだけど,それは

  • 治療の結果がよかった
  • 治療を安心してうけられた
  • 治療の費用に納得できた

などの総合評価で決まる(と思ってる)

だから,治療の結果が普通であっても,安心感があって,費用も適正なら,満足度は高いだろうし,いくら結果が良くても,不安だらけで嫌な思いをしたら,満足度はちょっと低くなるかもしれない.

だから,自分の特性をしっかり自己評価して,どういうところで点を取りにいくのが,自分らしいのかを見極めるのが大事なことだと思う.

それは,形成外科だろうが美容外科だろうが,本質は変わらない.

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