商いとサービス
病院受付で、なにやら不満をぶちまけている中年男性がいた。
職員が対応に当たっていたが、どうも、言いがかりのような内容だ。
「私はね! 決して不満があって、文句を言ってるんじゃないんだ!」
「ええ、はい」
「この病院のね、サービスの質がもっと向上するように、という気持ちからなんだよ」
「ええ・・・」
「ちょっとしたことなんだからさ、患者の立場に立ってね、え、わかる!?」
「・・・・」
病院側とすれば、そもそも診療におけるサービスに保険点数はないので、
お門違いの言いがかり、と言えなくもない。
保険診療に限らず、そもそも日本においてサービスは、
「笑顔 0円!」ではないが、
おまけのように捉えられる傾向にある。
北欧に暮らした時、商売の素っ気なさに初めは驚いた。
原則、物とお金のやりとりがすべてで、
日本で経験したサービスのようなものが含まれることは、少ない。
実際、不親切だなぁ~ という感覚に近い。
IKEAなどがその典型だろう。
棚卸しや、組み立てなどが必要なら、代価を支払う。
街のスーパーも同じだ。
ベルトコンベアのようなもので、買った品物がどんどん運ばれるので、
それを自分で袋に詰める。プラスチックバックを取れば、加算される。
デパートで買い物をしても、たいした包装はしてくれない。
贈答用なら、それなりのパッケージ代を支払う。
ただ、こうしたことも慣れればさほど不便でもないし、
不親切な感じもなくなる。
勝手になにかを期待して、それが裏切られたといって逆恨みすることもなくなる。
こうしたことは、チップに代表される、サービスの対価という発想の有無だけなんだろうけど
日本にも、根付けばいいのにな、と思う。
仲居さんに渡す心付けを、あとから堂々と渡す・・・
風情がないっ! と怒られそうだけどね。