台風
激しい風と雨だった。
4mほどあった自宅の木が、根本から折れた。
仕方ない。
私が子どもの頃は、瓦が庭に落ちて粉々になっていたり、雨戸が吹き飛ばされたり
台風=破壊 であった。
台風が近づくと、父は早めに帰宅して、5寸釘で雨戸を打ち付けていたし
母は炊き出しをしたり、ありったけのやかんと風呂桶に、水を溜めていた。
台風は決まって夜中にやってきた。
お決まりのように停電するなか、
ろうそくとラジオで、一夜を過ごした。
激しい雨風の音は恐ろしかったが、たいがいの時間には、睡魔に負けて押し入れで寝入っていた。
イベントで興奮するのだろう。
翌朝は、妙にすがすがしい気分で目が覚める。
そして目にするのが、破壊の光景だ。
6歳の私は、おにぎりを食べたあと、
すぐに探検に出掛けていた。
台風による傷みを見ると、あのころを思い出す。