自由と自立(4)
当時、私を入れて3名のスタッフが提供する仕事の質は、決して悪いものではなかったが、
まだまだ一流にはほど遠かった。
スタッフ全員で、走ることにした。
依頼された仕事は、すべて精一杯やった。
できるだけ、よい仕事をするようにした。
よい仕事をすれば、もっとよい仕事がやってくる。
よい仕事をたくさんすれば、それが新しい価値になると思った。
新しい価値は、われわれに立ち位置を提供してくれる。
それから、10年が経った。
きわめて優秀で多様な才能を持った6名のスタッフと共に、今も走っている。
新しい価値が生まれたのかどうかは、よくわからないが、
比べるものは全くないので、シンプルに対象に向き合うことができている。
だから、みんな前を向いて、顔を上げて立っていると思う。
どうしたら自由になれるのか、どうすれば自立できるのか、ずっと考えてきた。
もしかしたら、こうして走っていられること自体が、自由というものなのかもしれない。
仲間に支えられながらも、自分の足で走り続けることが、自立なのかもしれない。