上手い外科医の選び方
一般の方には、手術の上手い下手がどういったことなのか、わかりにくいかもしれない。
メスさばきがよい、糸を結ぶのが速い、
ぜんぜん血が出ないといった、手先の技術の巧拙は、比較的分かりやすいだろう。
ただ、これは手術を構成するひとつの要素でしかない。
これ以外にも、アプローチがシンプルである、どんな状況でも90点以上に持ちこめる、
危険察知能力が高いなどもあって、これらも上手い手術には欠かせないものである。
結局は、これらを総合した力の高い外科医が上手いということになるのだが、
幸いいずれも、訓練や経験によって獲得することができる。
だから真面目でストイックな外科医の方が、手術が上手い、とも言える。
しかし、残念ながら、これは真実ではないのだ。
なぜなら、もう一つだけ、重大な要素がある。
キャラだ。
慣れてない助手が付くとすぐイライラする、
その日毎の気分のムラが激しくて、悪い時はひどい、
アウェー(出張)オペだと、緊張していつもの力がでない、
順調な時はいいけど、うまくいかなくなると急に雑になる、
心配性のおかげでていねい過ぎて、ついついオペが長くなる、
予想外のことが生じるとパニックになる、など、いろんなタイプがいる。
同じ外科医として見てても、あれだけ上手い人がどうしてこんなになっちゃうの・・・
普段は温厚なのに何でこんなに興奮してるんだろ・・・いっしょに仕事したくないナ・・・
と思うこともある。
逆に、ウデは普通なんだけど、
手術を支えるナースや麻酔医などのスタッフをまとめるのが上手いので、
いつも順調に手術が進むし、なにかトラブルがあっても
スムースな協力体制があっという間に組めて、何ごともなかったように乗り越えられる、
そんなタイプもいる。
そんなわけだから一般の人には、目の前の外科医が上手いのかどうか、
ほんとうに分からないと思う。
たぶん、なんとなく感じる相性で決めるのが、一番なのかもしれません。